インプラントの基礎知識

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骨造成

インプラント治療における骨量の問題

  インプラント 治療を行うには、必要にして十分な骨量が必要です。  もちろん骨質も大事ですが、骨量の方が大きなファクターを占めます。
極めて大まかな話ですが、直径約4mmで長さ10mmのインプラントを植えることが出来れば、大体骨結合を起こして成功する、といわれています。  そして、インプラントの周囲には約1mmの幅で骨がある必要がある、とも言われています。
そうすると、骨の幅として最低6mm、骨の深さとして最低10mmが必要です。  実際には安全限界を見込んで、もう少し多い骨量が必要になるでしょう。

 インプラント 治療を予定している部位に、それだけの骨量が無いと判断されれば、見合うだけの骨を造成して、骨量を増す必要があります。
全体に大きく足りない場合は、事前に自家骨移植を行い骨造成を図らなくてはいけません。
部分的に足りないぐらいであれば、インプラント植立と同時に骨造成を図ることができます。

 事前に撮影したCTの結果によって、診断していきます。

骨移植

 インプラント 治療において、骨量が大きく足りず骨移植を行う場合、原則として自家骨のブロック骨を用います。
移植後、1ヶ月〜2ヶ月ほど骨の治癒を待ってから、インプラント手術に入ります。

自家骨を採取する部位は、自家骨を採取する部位




A:頬骨部
B:上顎結節部
C:智歯周囲
D:欠損部顎堤
E:オトガイ部







オンレイ・グラフト

全体に骨の深さが足りない場合は、治療予定部位に採取した自家骨のブロックを置き、専用のネジで固定して、骨の深さを確保します。
               骨移植 オンレイ・グラフト

ベニア・グラフト

骨の深さはあるが幅が足りない場合は、治療予定部位に採取した自家骨のブロックを置き、専用のネジで固定して、骨の幅を確保します。
               骨移植 ベニア・グラフト

                                                                         【ページのトップへ戻る】

骨誘導再生(Guided Bone Regeneration)

 インプラント 治療において、部分的に骨が足りないぐらいの場合は、インプラントの植立後に、ドリリング時の骨の切削片を足りない部位に充填して、上から特殊な人工膜で覆い、専用のピンで固定します。
そのまま安静にして、骨結合の治癒期間中を過ごします。
2次手術時に、合わせて人工膜を除去します。  この段階では、まだ完全な骨ではなく幼弱な骨様の肉芽組織のこともありますが、その後の時間の経過とともに周囲の骨と変わらない骨に変化して行きます。
               GBR   
 充填に使用する骨には人工骨もありますが、日本国内において歯科用に使える良い物はありません。  海外から個人輸入するしかないのが現状です。            

スプリット・クレスト

 インプラント 治療において、骨の深さはあるが幅が足りない場合、治療予定部位に刻みを入れ楔状の専用器具で拡げて、骨の幅を確保するテクニック。
失敗すると、更に骨幅が減少してしまうリスクがある。

ソケット・リフト

 上顎臼歯部の インプラント 治療において、骨の幅はあるが深さが足りない場合に行う。
上顎洞底まで約1mmの所までドリリングを進める。
               ソケット・リフト1
その後、専用器具で上顎洞底を残りの骨ごと突き抜けて、上顎洞粘膜を剥がしながら上方へ押しやる。
               ソケット・リフト2
そして、骨の切削片と一緒にインプラントを植立する。

サイナス・リフト ( 上顎洞挙上術 )

 上顎臼歯部の インプラント 治療において、骨の幅はあるが深さが足りない場合に行う。 (ソケットリフトと同じ)
上顎洞前壁を若木骨折させた部分から上顎洞粘膜を剥離して空洞を拡がる。  そこに採取した自家骨を内部に充填して、骨量を増やすテクニック。
かなり大掛かりな手術になる。
術後1,2ヵ月後にインプラント植立を行う。

サイナス・リフト後に時間が経過しすぎると、鼻空を通る呼吸の空気圧により、増加させた骨量が減少していく。

また、ソケットリフトでも同様だが、 インプラント 植立後に時間が経過すると、上顎洞に突き出している部分の造成した骨はやがて無くなり、インプラント周囲にわずかに残存するだけになると考えられている。  従って、術前に残存する骨量が5mm以下の場合は、予後を考えると不適であるとされる。

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